イギリスに留学中、ホストファミリーにお世話になったときのことです。
1回目はクローゼットの中にしまっておいた2万円、2回目はお財布の中から大体20ポンド、3回目も財布の中から20ポンドなくなりました。
滅多にない経験をしたと思うので、振り返ってみました。

ホームステイ先の概要
当時とある再婚夫婦のお家にお世話になっていました。お互いに連れ子(どちらも息子x1人ずつ)がおり、更に家庭内暴力により自分の家族と一緒に住めなくなった女の子を保護している家庭でした。
登場人物
・私(当時19歳)
・ホストマザー/ファザー
・ホストファザーの連れ子21歳♂ トム(チャラ男だけどイケメン)
・ホストマザーの連れ子18歳♂ ジョシュア(裏表ありそうな表面おっとり)
・同居人の女の子18歳♀ ハナ(大人びて見える、彼氏は強面)
留学当初

留学当初、イギリスについたときは英語が全く理解できず、本当に苦労しました。
ヒースロー空港からホストファミリーの家に行くのも大苦戦!!!
行き方を聞いて教えてもらっても、イギリス英語のアクセントが全く分からず・・・
日本にいるときにもうちょっと勉強しとけばよかったと大後悔。
どうにかこうにかホストファミリーの家に着いたときは、温かく迎えてくださったこともありホッとしました。
ホストマザーとホストファザーはとても仲が良く、私が早くイギリスの生活に慣れるようにと随分フォローしてくれました。
スマホもなかった時代です。
毎晩ホストファミリーと紅茶を飲みながら一緒にBBCを観るのが日課で、ニュースを観ながら会話をしたり。
このおかげでリスニング力がぐんとアップしたと思います。

留学生活
お昼ご飯を持たせるのはホストファミリーの義務ではなかったのですが、ここの家庭ではお昼に食べてねと手作りのサンドイッチを持たせてくれたり、週末には連れ出してくれたりと、とても良くしてもらいました。
そういえば初めてお風呂に入るときにお湯を溜めて浸かったら、次からはシャワーだけにしてくれとお願いされたな。
あと、私が使ってた部屋はもともとは夫婦の部屋だったらしく、私が住み始めてから夫婦は庭にテントを張って寝ていました。
とても良くしてもらったものの、驚愕することも多かった!
この時点でなんとなく想像がつくかもしれませんが、あまり裕福な家庭ではなかったです。
(ホストファミリーは事情のある家庭が結構多かったりします。留学生を受け入れるとお金がもらえ、収入が増えるから)
子どもたちとの関係

子どもたちとの関係はというと、ジョシュアとハナとはたまに会話をする程度。
住み始めて3週間くらいはトムの存在を知りませんでした。イケメンなトムは友達や彼女の家に入りびたりの生活であまり家に帰ってこなかったためです。
私が一緒に住んでいることを知ってから、たまに帰ってくるようになりました。
少しずつ生活に慣れてきた

住み始めてから2か月目くらいに差し掛かる頃には少しずつイギリスでの生活にも慣れてきて、家族ともちょっとずつ会話が続くようになりました。
留学生同士で会話をするときも英語を使うようにと先生から言われており、モチベーションが高い人が多かったので私たちは言いつけを忠実に守っていました。
街中に遊びに行ったときにもアジア人同士、英語で話していたのがいい思い出です。
周りのイギリス人たちはどんな目で私たちを見ていたんだろう。(笑)
そして庭先のテントで寝ていた夫婦ですが、家の内部を一部リフォームし私の部屋を作ってくれたため、夫婦はもとの部屋に戻り、私は夫婦の部屋から自分専用の部屋にプチ引っ越しをしました。
兆候①

日本を出発する前に決めていたのですが、もしホームシックになったらこれを見て帰国後遊ぶのをイメージして乗り越えようと、2万円だけ両替せずに手元に残しておきました。
イギリスの街中で日本円を財布に入れて持ち歩くのもな~、盗まれても怖いしと思い、私は自分の部屋のクローゼットにそれをしまっておきました。
それをたまに確認するのもルーティンのひとつだったのですが、プチ引越しの時に2万円が無くなっているのに気づきました。でも、まさか日本円をホストファミリーが取るなんて、ていうか日本円をどこで使うねん!荷物を色々と移動させている最中にどこか紛れ込んでしまって、そのうちひょっこり現れるかもな~と悠長に考えながら、無くなるはずなんてない、と言い聞かせて過ごしていました。
兆候②
また別の日にATMでお金をおろして家に帰ったのですが、翌日学校で買い物しようと財布を開けたときに、おろしたはずのお金が少なくなっているような違和感を覚えました。20ポンド札が減ってる気がしたのです。でも昨日お金をおろした後に買い物もしていないし財布も開けてないし、家との往復しかしていないし・・
おろした金額を私が勘違いしているだけかもしれない。だけどやっぱり違和感がありましたので、その日から家に帰って自分の部屋に入った後すぐに財布の中にいくら入っているか、毎日ノートに記録していくようにしました。
確信へと変わる
記録を始めてから5日後、ついに決定的な日が訪れました。
いつものように記録したあとシャワーを浴びたのですが、シャワーが終わってなんとなく財布の中身を確認すると、20ポンド札がなくなっていました。
「うげーーーーーーー嘘やろー!!」と、目の前で起きていることを信じたくありませんでした。
が、誰かがお金を盗んでいるんだと確信した瞬間でした。
殴られるほどの衝撃とはこのことか!と身をもって感じた瞬間でした。
ショックで落ち込むと同時に、これからどうするべきかとにかく冷静になろうと努めてあれこれ考えました。
お世話になっているホームステイ先で面倒なことを起こしたくない気持ちもあるけど、じゃあ今までのなくなったお金は諦めてここで生活を続けてお風呂に入る時は財布を持って入るの?とか、いやいやよくないでしょ!でもこういうときって警察に連絡したほうがいいの?イギリスの警察にいきなり日本人が助けを求めても怪しまれないかとか、、
色々と自問自答したのですが答えは出ず、自分では解決できそうになかったので翌日ホストファミリー関係を手配してくれている学校に相談することにしました。
学校に相談

ホストファミリーはとてもよくしてくれていること、でも日本円が最初になくなって、財布の中身が少なくなっている気がして、毎日チェックするようにしたら昨日明らかになくなった・・と、これまでの経緯を説明しました。
記録していたノートも持っていきました。
学校側も大変驚いていましたが、財布から直接お金を盗むなんて・・とショックを受けていました。
なんてことだ。ありえない。ステイ先を変えましょうと。
警察に連絡するかという話にもなりましたが、いきなり警察に話すのは今までの恩もあるし・・と、ホストファミリーに一旦私から話をするということになりました。
学校は私の気持ちを尊重してくれてか、ホームステイ先を変える理由は学校から家が遠いと別の理由をつけて話してみてもいいかもしれないと言ってくれ、そこは私に任せるから辻褄はあとで合わせるよと、次のステイ先を見つける手続きに入りました。
確かに言わないという手もあるなと考えたりもしましたが、逆にお世話になっているからこそお金が無くなったことはちゃんと言おうと決意しました。

ホストファミリーに意を決して話す
そして家に帰った後、とっても言いずらかったですが、今まで起きたことをホストマザー・ホストファザーのふたりに話しました。
ホストファザーは厄介なことが起きた・・という感じでしたが、ホストマザーは心から謝罪してくれ、まず私たち2人が盗むことはないから信じてほしいということとと、話してくれてありがというということ、そしてこれは犯罪だからと、すぐに警察に連絡してくれました。
自分の息子に疑いがかけられることだってあるかもしれないのに、寸分の迷いもなく警察に連絡してくれたホストマザーの行動には正直驚きました。でも、だからこそ彼ら2人を改めて信用することができ、同時に自分のお金の管理方法をもっと強化しておけばと悔いました。
その後警察が数名家に来て外から不審者が入った形跡などないか、家の中に何か手がかりなどないか等色々と調べに来ました。家の隅々をチェックしていましたが、外部からの侵入は恐らくないだろうという結果に落ち着き、帰っていきました。
数時間で帰った記憶があります。
お風呂に入っているときハナは家におらず、可能性があるのは・・とも考えたりしましたが、身内の誰かを疑うようなことはしたくなく、もうこれ以上考えたくなかったので、ホームステイ先を出る準備をすぐに始めました。
なくなった日本円や財布の中からなくなったポンド札が返ってくることはありませんでした。
ものすごく呆気ない終わり方でした。学校もすぐに新しいホームステイ先を手配してくれたこともあり、警察などとも話し終えた後家族とあいさつを済ませ、私はそのまま家を出ていきました。
ホームステイ先の変更後
ホームステイ先を変えた後もホストマザー・ファザーとは少し交流が続き、教会やボクシングエクササイズに連れて行ってもらったりしました。
そしてのちに中国系の男子留学生を受け入れたと聞きました。その人は英語がうまいとホストファザーに冗談ぽくいわれました。どんだけ私が英語下手くそだったことか(笑)
問題が起きたときに警察にも連絡しちゃんとした対応を取った点が、今後もホームステイを受け入れられると判断されたのでしょうか。その家がホストファミリーを続けられているのは、少しホッとしました。
ちなみにトムはバイトをしながらクラブ通いの生活で、バイトをクビになってはお父さんにお金をくれと頼んだりしていたので、お金が無くなった際はもう家に帰ってくるなとホストファザーから激ギレされていました。トムも自分ではないと言い張っていましたが・・
トムは時々朝ごはんにパンを焼いてくれたりしたのでいい奴じゃんと思っていたのですが、罪滅ぼしだったのかなとも思ってしまったり。
疑いたくなかったので考えないようにはしましたが・・・。
学んだこと
お金が絡むと、人間関係は本当に面倒なことになると身をもって感じました。
なくなったお金は、管理と詰めをしっかりするという教訓を学んだ代金だと思うようにしています。
この経験から10年以上が経ち、たまにお金を無駄遣いしてしまうときもありますが、改めて振り返ってみて身を引き締める思いになりました。

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